2010/09/04

Dialog in the Dark に行ってきた。

ダイアログ・イン・ザ・ダークに行ってきました。

最近メディアでも取り上げられているので知ってる人もいるでしょうが、内容は…

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、まっくらやみのエンターテイメントです。

参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、何人かとグループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。
その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します。

というものです。会場ではワークショップ型展覧会と称していました。

えっ、ちょっとこれヤバいヤツなんじゃ?自己啓発セミナー!?と思うかもしれませんが、一応厚労省も金を出してるようですし、心配はありませんよ。(こういう時に国とか言っちゃう自分がヤダわ!)

TBSラジオでPRしていたので存在は知っていましたが、茂木健一郎がTwitterでつぶやいているのを見て体験することにしました。完全に一人遊びです。場所は神宮球場の近く。表参道から歩いて行きましたが完全におしゃれゾーンでした。


地下一階で受付を済ますと、薄暗い部屋にソファがあってそこでリラックスしてるように言われました。この部屋の明るさは、薄暗いと言っても本も余裕で読めるレベルですけど。

このイベントの醍醐味は全く知らない人とグループを組むこと。なので、どんな人が同じ時間の回になるかが大事なのです。ソファに座って待ってると、相棒1人目、30才くらいのおじさん(年は若いんだろうけど、見た目が老けてる感じ)がやってきました。おじさんと部屋に二人。どすーん、とした空気が流れる。もしや2人?と思っていると、いかにも渋谷にいそうなカップルが受付に。学生か?

そして、受付お姉さんに呼ばれ、入り口の前に集合。結局、一緒に行動するのはおじさんとカップル、そして自分の4人。大丈夫かコレ?

会場の中には携帯、時計、光るもの、その他基本的に持ち物は持ち込めません。唯一、中で飲み物を買うイベント(!)があるらしく、小銭のみポケットに入れていざ一つめの部屋へ。

一つめの部屋は、グループの人の顔がまあ分かるレベルの明るさ。結構暗い。そこでイベント中使う、杖を選びます。杖が暗闇の中での命綱になるわけです。選び終わると、カーテンが開き第2の部屋へ案内されます。そこで、ついにアテンドと対面することに。部屋は人の場所がやっとわかるレベルの明るさ。もうほとんど見えません。

自分たちのアテンドは女性の方。かなりのハイテンション。声の感じが子供みたいでしたが、顔は暗くて見えないのでわかりません。ここでそれぞれ自己紹介。他のメンバーに呼んでほしい名前をそれぞれ言います。

自己紹介し終わると、豆電球くらいの照明も消されて完全な闇に。ついにダイアログ・イン・ザ・ダーク開始です。

会場の中に入ると、全くなにも見えません。鳥の鳴き声と葉っぱが風に揺れる音が聴こえます。アテンドさんに木のトンネルがあるので探して!と言われ、メンバーみんなで探します。真っ暗なので、杖と手探りで恐る恐る動き回っていると、つたのようなものがアーチ状になっているところを発見。こっちですよー、とメンバーを呼びました。このあたりからメンバー同士でコミュニケーションが盛んになってきた感じです。普通に手を引いてもらったり、引いてあげたり。

トンネルをくぐると、落ち葉が積もったところに出ます。踏んだ感じと音でそれがわかります。深い森の中ということなんでしょう。

ここでひとつ遊びをすることに。鈴が入っているボールを転がしてパスしあうゲームです。何度も言いますが、全く光がない中でそんなの出来るのかよ?と思いましたが、ボールの音を頼りに場所は把握できるものなんですね。ほぼ完璧にボールを投げあえます。このへんから暗闇のなかでもそれなりに動けるようになってきました。

次のステージはキャンプ場らしく、またみんなでソロソロ歩いて行きます。明らかに階段らしいところを降りると、杖が金属音のするものに触れました。手で触ってみると、鍋と飯ごうであることがわかります。キャンプ場に来たんです。鍋を開けると、玉ねぎっぽいものとじゃがいもっぽいものを発見。匂いでそれとわかりました。

キャンプ場なので当然テントも発見。もうこのへんになると見えなくてもそれなりに「分かる」ようになってきました。テントの中で寝っ転がったあとは、水の音がする方へアテンドの方の声を頼りに移動。手で触ってみると、ホントの川か池のようなものが。場所が見えないので、落ちても文句は言えないわけで、会場で一番危険な場所かも知れません。

川(or池)にかかる橋を渡ると、そこは干し草のようなものが敷き詰められています。みんなで寝っ転がり、草の匂いを感じます。アテンドの方が自由に動いて大丈夫と言うので、歩いてみるとかなりの広さがあるようです。

そして、このイベントのクライマックス。暗闇のバーに向かいます。

店の扉を開けると、ドスの利いた低い声で迎えられます。マスターがいました。ここでは、アルコールを含むドリンクが9種類あり、結局全員ビールを飲むことに。ここまで来ると、メンバー同士前からの知り合いのような空気感になっています。暗闇の中で乾杯をし、全く顔の見えないメンバーとの飲み会が始まります。暗闇の中でビールを飲むと匂い、味ともに敏感になっているので、日常とは味も違うんです。

さてさて、このへんでイベントも終了間近です。アテンドの方に始まってから何分経ってると思いますか?と聞かれ、それぞれ20分やら40分やら答えが出ますが、人によって全く答えが違います。視覚情報がないと時間感覚も無くなるということなんでしょうか。

暗闇に別れを告げ、豆電球ほどの照明のある部屋へ。このぐらいの照明でもかなり眩しく感じます。ここでそれぞれ感想を述べ合うという、いかにもワークショップっぽいことをします。メンバーの顔が見えるようになったので、暗闇での距離感を考えるとなんか恥ずかしい感じが。

目が光になれたところでこのイベントも終了。時計を見たら90分ほど経ってました。感覚の倍以上過ぎてたということです。

暗闇の中では、不確実性とそれに伴なう恐怖で参加者それぞれがひとりの人間として認識されます。年齢も肩書きも暗闇となります。その中で、メンバー間の協力関係が生まれるんだと思います。

今回、参加してみて実社会で肩書きを盾に生きているような人がこのイベントに参加することが、より効果的なんじゃないかと思いました。自分みたいな20代で組織の中の下っ端なんかじゃなくて。一人の人間として扱われることを体験することで、人にもっとやさしくなれるんじゃないでしょうか。組織の上にいるクソおやじどもよ!

視覚情報が絶たれることで、その他の感覚がびんびんになるこの気分、病みつきです。

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